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topiko! MAGAZINE

ニセコの森で作るチョコレート

2020年12月取材

北海道ニセコは自然豊かなリゾート地。世界中からのゲストで賑わうスキー場と、美しい森が共存しています。そんなニセコの白樺の森の中で、シンプルながら濃厚な味わいのチョコレートが作られていることをご存じですか?

小さく見えるけれど厚くてずっしりした板チョコレート。たったひとかけらで、わあっ!と心を奪うほどの豊かな風味が、口の中に広がります。続く濃厚な口どけにうっとり。思わず目を閉じて、とろける感覚をじっくりと味わいたくなるのです。

ニセコの森で作られるチョコレート『nicao』の工房で、この素敵なチョコレートが作られる様子を見せていただきました。

一つひとつを手作業で。シンプルでていねいなチョコレート作り

nicaoで作るチョコレートの材料は、カカオとお砂糖。

あとはフレーバーをつけるための素材。それだけです。

シンプルな組成で作られるチョコレートからは、フルーティな香り、ほろ苦さ、濃厚な口どけと、カカオの魅力をこれでもかと感じることができます。

では、チョコレートが1枚1枚手作りされる様子を見ていきましょう。まず、焙煎したカカオ豆をすりつぶしやすい細かさに砕き、ハスクという外皮を取り除いてカカオニブを取り出します。

細かく砕けたハスクはひとかけらずつピンセットで拾っていきます。

次に、取り出したカカオニブがなめらかになるまですりつぶし、砂糖や他の材料を加えていきます。

ふつう、チョコレートの製造ではすべての材料をなめらかに混ぜ合わせるために乳化剤を加えます。

が、nicaoのチョコレートは乳化剤に頼らず、時間をかけてすりつぶしたカカオニブと砂糖を混ぜ合わせることでなめらかな口溶けを生み出しています。カカオ豆がチョコレートに変わるまで、なんと3日もかかるのだそう。

チョコレートを型に流すのも、トッピングをのせるのも、金色のホイルに包むのも全て手作業で進められます。

型から外す瞬間は、緊張のとき。傷がつかないように、落とさないように・・・

取り出されたのはつややかな板チョコレート!

チョコレートのつやは、材料がなめらかに混ぜ合わせられ、口どけよく仕上がった証でもあるのだそうです。

イングランドから、ニセコの森へ

このシンプルで美しいチョコレートを作る、ブレイク由子(なおこ)さんと夫のティムさんにお話を伺いました。

自然豊かな場所で子育てをしたいと、イングランドから北海道ニセコに移住したお二人。それまでは、由子さんは翻訳の仕事を、ティムさんは自動車メーカーのエンジニアをされていました。

ある日由子さんは、あるブログで、カカオ豆から自分でチョコレートを作っている人がいることを知り、興味を持ちます。

読み進めるうちに心の中に浮かんだのは、これなら私もできるんじゃないか?という思いでした。

もともと由子さんのご家族は仕事をしている女性が多かったため、子育てをしながら続けられる仕事を見つけたかったという彼女の思いともマッチします。

その後、出会ったカカオ豆も彼女の背中を押しました。

由子さんが使うカカオ豆はグァテマラの歴史ある農園で生産されています。

20年も廃墟となっていた期間がありましたが、今のオーナーである女性が亡きお父さまの農園を引き継ぎ、再生へと導きました。その起業家女性とは、ネット上のカカオマーケットで知り合ったそうです。

「いろいろなカカオ豆を試しましたが、彼女の生産するカカオに驚かされたんです。なんて力強いフレーバーなんだろうって!」

無償でサンプルを提供してくれ、顔の見えないやりとりの中でも温かな人柄が伝わってくることに感銘を受け、由子さんはこのカカオ豆を使い続けているのだそうです。

ニセコの森で、ていねいに作られるチョコレート。

ひとつひとつの素材の中に、ストーリーや美しい風景を含んでいます。

これから、オーガニックフルーツをトッピングしたチョコレートなど、ラインナップをどんどん広げていく予定とのこと。

次はどんなフレーバーに出会えるか、楽しみが止まりません!

どうぞ、至福の味わいの中にこめられた情熱を一緒にお楽しみください。

text & photo:NISEKO topiko! “c5-t”

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