topiko! MAGAZINE
ニセコ発ノンアルコールドリンク
HAKKO GINGERの工房へ
2020年12月取材
2020年、ニセコで有機生姜と北海道素材を使ったジンジャービア、HAKKO GINGERが誕生しました。
仕掛け人は、知る人ぞ知る杏ダイニングの前田伸一シェフ。
ビア、とついているものの、完全なノンアルコールドリンクです。
モクテルなど世界的にノンアルコールドリンクの需要が高まる中、オリジナルのノンアルコールドリンクを、しかも地元素材をフル活用して誕生させてしまった前田シェフ。
その誕生ストーリーを聞きに、工房へお邪魔しました。
●そもそも、ジンジャービアとは?
●クラフトマンシップ×ミニマム生産で、ニセコエリアの味を盛り込む
●前田氏の思い出から、地域を豊かにする商品へ
●そもそも、ジンジャービアとは?
生姜が使われていますが、ジンジャーエールとは似た名前ながら全く起源も製法も違います。
「アイルランド発祥のジンジャーエールは、炭酸に生姜シロップを加えて作った簡単なものだが、イギリス発祥のジンジャービアは、生姜、レモン、唐辛子に糖質を加え、酵母で『発酵』させて醸造します。その香りと味わいの違いを感じてください。」
糖質にもこだわり、オリゴ糖、ミネラル、アミノ酸を多く含む北海道産のビートから作られた「糖蜜」を、また酵母は蝦夷山桜から取れる天然酵母を使用しています。
●クラフトマンシップ×ミニマム生産で、ニセコエリアの味を盛り込む
HAKKO GINGERの工房にお邪魔しました。
設備はいたってシンプル、コンパクト。だからこそ生産量をコントロールしやすいのだそうです。
HAKKO GINGERはオリジナルのほか、リンゴやハスカップ、いちご、マスカットなど多くのフレーバーが展開されています。
どうしてこんな短時間で、いくつものフレーバーが出来るのか?
その秘密は「ミニマム生産」にありました。
例えば、旧知の農家さんから「いちごが○kgあるけど、使ってみない?」と言われたら、すぐに買い取って仕込みをするのだそうです。
6次化や商品開発のネックはいつもその大き過ぎる「ロット数」。
最低ロットが40本から仕込むことの出来るHAKKO GINGERのスタイルだからこそ、たくさんの「小さな挑戦」が出来るのです。
●前田氏の思い出から、地域を豊かにする商品へ
前田シェフがジンジャービアと出会ったのは12年住んだオーストラリア。
あのファーマーズマーケットで飲んだ農家さんが作る「自家製有機ジンジャービア 」の味を日本で再現したい、味を日本で再現したい、という思いが高じて、ついには自分で作ってしまったとのこと。
ニセコで再現するにあたって地域の素材を盛り込んだのは、料理人としてのこだわりの現れでもあります。
また、地域素材を生産する農家さんだけでなく、HAKKO GINGERを販売してくれる小売店にも利益があるようにと、細かな心配りが重ねられています。
最近は、倶知安農業高校の生徒さんがインターンシップでHAKKO GINGERを販売したりも。
いろいろな形で地域に溶け込むドリンクとなって来ました。
ニセコで作られる、北海道素材をたっぷり使ったドリンク、HAKKO GINGER。
世界のお客さまが訪れるニセコの、ひとつのスタンダードになりつつあります。
【後記】いつもながら感心するのは前田さんの行動力。味見させていただいてからここまで来るスピード感も素晴らしいけど、生産地に自ら足を運んだり、実際に生姜の栽培を自分でしてみたり、レシピ、生産、プロデュースまで一貫して手掛けるという半端ではない運動量。見習おう。(NISEKO topiko! “picasso”)